薬膳の五性とは?寒・涼・平・温・熱を初心者にもわかりやすく解説
薬膳を学び始めると、よく出てくる言葉が「五性」です。
五性とは、食材が体に与える温度のような性質を表す考え方です。
たとえば、体を温める食材もあれば、体の熱を冷ます食材もあります。
温めすぎず、冷やしすぎない食材もあります。
薬膳では、この五性をもとに、体質や季節に合った食材を選びます。
この記事では、薬膳の五性について初心者にもわかりやすく解説します。
⚠️ ご注意: 本記事は東洋医学・薬膳の一般的な情報をお伝えするものです。症状が重い場合、妊娠中や漢方薬の服用をお考えの場合は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
薬膳の五性とは
薬膳の五性とは、食材が持つ性質を次の5つに分けたものです。
| 五性 | 読み方 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 寒 | かん | 体を冷やす |
| 涼 | りょう | 体の熱をやさしく冷ます |
| 平 | へい | 温めすぎず、冷やしすぎない |
| 温 | おん | 体を温める |
| 熱 | ねつ | 体を強く温める |
五性は、食材そのものの温度ではありません。
冷たいトマトを食べたから「寒性」という意味ではなく、
温かいスープにしたから「温性」になるという意味でもありません。
五性は、食べたあとに体へどのような働きをしやすいかを表す考え方です。
たとえば、生姜は温かい料理に使う場合が多いですよね。
薬膳でも、生姜は体を温める食材として考えられます。
一方で、きゅうりやトマトは、体の熱を冷ます食材として使われることがあります。
五性を知ると何がわかる?
五性を知ると、自分の体調に合う食材を選びやすくなります。
たとえば、冷えが気になる人が、体を冷やす食材ばかり食べると、冷えが強くなる場合があります。
反対に、のぼせやほてりが気になる人が、体を温める食材ばかり食べると、熱っぽさを感じやすくなる場合もあります。
つまり、五性は「体に良い食材を選ぶ」ためではなく、今の自分に合う食材を選ぶための目安です。
寒性とは
寒性とは、体を冷やす性質が強い食材のことです。
体にこもった熱を冷ましたい時や、暑さが気になる時に使われることがあります。
| 寒性の食材例 |
|---|
| きゅうり |
| トマト |
| なす |
| 冬瓜 |
| ゴーヤ |
| すいか |
| バナナ |
| 昆布 |
| わかめ |
寒性の食材は、夏の暑い時期や、ほてりが気になる時に向いています。
ただし、冷えやすい人や胃腸が弱い人は、食べすぎに注意しましょう。
なぜなら、寒性の食材を多く取りすぎると、体が冷えたり、お腹がゆるくなったりする場合があるからです。
涼性とは
涼性とは、体の熱をやさしく冷ます性質を持つ食材のことです。
寒性ほど強く冷やすわけではありません。
余分な熱を穏やかに冷ましたい時に使いやすい食材です。
| 涼性の食材例 |
|---|
| 大根 |
| セロリ |
| ほうれん草 |
| 小松菜 |
| そば |
| 豆腐 |
| 梨 |
| みかん |
| 緑茶 |
| はと麦 |
涼性の食材は、のぼせ、ほてり、口の渇き、暑さによるだるさが気になる時に取り入れやすいです。
ただし、寒性と同じように、冷えが強い人は食べ方に注意が必要です。
たとえば、大根や豆腐を食べる時は、温かい味噌汁や鍋に入れると取り入れやすくなります。
平性とは
平性とは、体を温めすぎず、冷やしすぎない性質を持つ食材のことです。
五性の中でも、比較的どの体質の人にも取り入れやすい食材が多いです。
| 平性の食材例 |
|---|
| 白米 |
| じゃがいも |
| さつまいも |
| キャベツ |
| にんじん |
| とうもろこし |
| 黒豆 |
| 大豆 |
| 卵 |
| 豚肉 |
平性の食材は、毎日の食事に使いやすいのが特徴です。
薬膳初心者は、まず平性の食材を中心にしながら、体調に合わせて温性や涼性の食材を足していくとよいでしょう。
たとえば、胃腸が弱い人なら白米のお粥。
疲れやすい人なら、じゃがいもやにんじんを使ったスープ。
乾燥が気になる人なら、卵や豚肉を使った料理も選びやすいです。
温性とは
温性とは、体を温める性質を持つ食材のことです。
冷えが気になる人や、寒い季節に取り入れやすい食材です。
| 温性の食材例 |
|---|
| 生姜 |
| ねぎ |
| にんにく |
| 玉ねぎ |
| にら |
| かぼちゃ |
| 鶏肉 |
| 鮭 |
| えび |
| 紅茶 |
温性の食材は、体を内側から温めたい時に使いやすいです。
たとえば、冷えが気になる日は、生姜やねぎを入れたスープがおすすめです。
寒い朝には、紅茶や温かい味噌汁も取り入れやすいですよね。
ただし、のぼせやすい人、口が渇きやすい人、熱っぽい人は食べすぎに注意しましょう。
熱性とは
熱性とは、体を強く温める性質を持つ食材のことです。
温性よりもさらに温める力が強いと考えられます。
| 熱性の食材例 |
|---|
| 唐辛子 |
| こしょう |
| 山椒 |
| シナモン |
| 羊肉 |
| 酒 |
熱性の食材は、寒さが強い時や、体をしっかり温めたい時に使われることがあります。
ただし、初心者は取り入れ方に注意しましょう。
なぜなら、熱性の食材は刺激が強いものも多く、食べすぎると胃腸に負担がかかったり、のぼせやすくなったりする場合があるからです。
唐辛子やこしょうなどは、少量を香辛料として使うくらいから始めると安心です。
五性と体質の関係
五性は、自分の体質に合わせて考えると使いやすくなります。
| 体質・状態 | 合いやすい五性 | 食材例 |
|---|---|---|
| 冷えやすい | 温性・平性 | 生姜、ねぎ、鶏肉、かぼちゃ |
| 疲れやすい | 平性・温性 | 白米、じゃがいも、にんじん、鶏肉 |
| むくみやすい | 平性・涼性 | はと麦、小豆、とうもろこし、冬瓜 |
| のぼせやすい | 涼性・寒性 | 豆腐、梨、きゅうり、トマト |
| 胃腸が弱い | 平性・温性 | 白米、山芋、かぼちゃ、鶏肉 |
| 乾燥しやすい | 平性・涼性 | 卵、豆腐、梨、白きくらげ |
冷えが強い人は、寒性や涼性の食材を取りすぎないようにします。
反対に、ほてりやのぼせが気になる人は、温性や熱性の食材を取りすぎないようにしましょう。
薬膳では、体質と食材の性質を合わせることが大切です。
五性と季節の関係
五性は、季節に合わせて考えることもできます。
| 季節 | 意識したい五性 | 食べ方の例 |
|---|---|---|
| 春 | 平性・涼性 | 香味野菜や春野菜を取り入れる |
| 夏 | 涼性・寒性 | 体の熱を冷ます食材を取り入れる |
| 梅雨 | 平性・涼性 | 余分な水分をためこまない食材を選ぶ |
| 秋 | 平性・涼性 | 乾燥対策になる食材を取り入れる |
| 冬 | 温性・熱性 | 体を温める食材を取り入れる |
夏は暑さで体に熱がこもりやすいため、涼性や寒性の食材が役立つ場合があります。
冬は体が冷えやすいため、温性の食材を意識するとよいでしょう。
ただし、季節だけで決めるのではなく、自分の体調も一緒に見ることが大切です。
たとえば、夏でも冷房で冷えている人は、冷やす食材ばかりでは合わない場合があります。
冬でものぼせやすい人は、温める食材を取りすぎない方がよい場合もあります。
五性は調理法でも調整できる
食材の五性は基本の性質として考えますが、調理法によって体への負担をやわらげることもできます。
たとえば、体を冷やしやすい食材でも、温かい料理にすると食べやすくなります。
| 食材 | そのまま食べる場合 | 調理の工夫 |
|---|---|---|
| 豆腐 | 冷奴 | 湯豆腐、味噌汁 |
| トマト | 冷たいサラダ | スープ、炒め物 |
| 大根 | 大根おろし | 煮物、味噌汁 |
| きゅうり | 生で食べる | 生姜や味噌と合わせる |
| なす | 冷たい焼きなす | 生姜を添える、味噌炒めにする |
冷えやすい人が涼性や寒性の食材を食べる時は、温かく調理したり、生姜やねぎなど温性の食材と合わせたりすると取り入れやすくなります。
反対に、温性の食材が多い料理には、涼性の野菜を合わせてバランスを取ることもできます。
薬膳は、食材単体ではなく、組み合わせや調理法も含めて考えるのがポイントです。
五性を使った食材選びの例
ここでは、五性を使った食材選びの例を紹介します。
冷えが気になる時
冷えが気になる時は、温性の食材を取り入れます。
| おすすめ食材 | 料理例 |
|---|---|
| 生姜 | 生姜入り味噌汁 |
| ねぎ | ねぎと鶏肉のスープ |
| かぼちゃ | かぼちゃの煮物 |
| 鶏肉 | 鶏肉と根菜のスープ |
| にら | にら玉 |
冷えが気になる時は、生野菜や冷たい飲み物を取りすぎないようにしましょう。
ほてりが気になる時
ほてりやのぼせが気になる時は、涼性や寒性の食材を意識します。
| おすすめ食材 | 料理例 |
|---|---|
| 豆腐 | 豆腐とわかめの味噌汁 |
| 梨 | 梨のコンポート |
| トマト | トマトスープ |
| きゅうり | きゅうりの酢の物 |
| 緑茶 | 温かい緑茶 |
ただし、胃腸が弱い人は冷たいまま食べすぎないようにしましょう。
胃腸が疲れている時
胃腸が疲れている時は、平性や温性の食材を使い、消化にやさしい料理にします。
| おすすめ食材 | 料理例 |
|---|---|
| 白米 | お粥 |
| 山芋 | 山芋入り味噌汁 |
| じゃがいも | じゃがいものスープ |
| にんじん | にんじんのポタージュ |
| 鶏肉 | 鶏粥 |
胃腸が弱っている時は、脂っこいものや刺激の強いものは控えめにしましょう。
五性を覚えるコツ
五性をすべて丸暗記する必要はありません。
最初は、よく使う食材から覚えれば十分です。
| 覚え方 | 例 |
|---|---|
| 夏野菜は冷ますものが多い | きゅうり、トマト、なす、ゴーヤ |
| 香味野菜は温めるものが多い | 生姜、ねぎ、にんにく、にら |
| 主食や芋類は平性が多い | 白米、じゃがいも、さつまいも |
| 香辛料は温める力が強いものが多い | 唐辛子、こしょう、山椒 |
| 豆腐や梨は熱を冷ます時に使いやすい | 豆腐、梨 |
最初から細かく覚えようとすると、薬膳が難しく感じてしまいます。
まずは、
「冷えたら温める食材」
「暑さやほてりには冷ます食材」
「迷ったら平性の食材」
この3つを意識すると始めやすいです。
初心者が五性を使う時の注意点
五性を使う時は、食材の性質だけで判断しすぎないようにしましょう。
たとえば、トマトは体の熱を冷ます食材として考えられます。
だからといって、誰でも毎日たくさん食べればよいわけではありません。
冷えが強い人や胃腸が弱い人には、合わない場合もあります。
また、生姜は体を温める食材ですが、のぼせやすい人や熱っぽい人には合わない場合があります。
薬膳では、食材の性質・体質・季節・体調・調理法を合わせて考えます。
「この食材は良い」「この食材は悪い」と決めつけないことが大切です。
五性を毎日の食事に取り入れるコツ
五性は、毎日の食事で少しずつ取り入れられます。
たとえば、いつもの味噌汁に食材を足すだけでも十分です。
| 体調 | 味噌汁に足す食材 |
|---|---|
| 冷えが気になる | 生姜、ねぎ、にら |
| 胃腸が疲れている | 山芋、じゃがいも、にんじん |
| むくみが気になる | とうもろこし、わかめ、小豆 |
| 乾燥が気になる | 豆腐、卵、白きくらげ |
| ほてりが気になる | 大根、豆腐、わかめ |
薬膳は、特別な料理を作らなくても始められます。
冷えが気になる日は温める食材を選ぶ。
暑さがつらい日は熱を冷ます食材を選ぶ。
迷った時は平性の食材を中心にする。
このように、今の体調に合わせて食材を選んでみましょう。
まとめ
薬膳の五性とは、食材が体に与える温度のような性質を表す考え方です。
五性には、寒・涼・平・温・熱の5つがあります。
寒性は、体を冷やす性質。
涼性は、体の熱をやさしく冷ます性質。
平性は、温めすぎず冷やしすぎない性質。
温性は、体を温める性質。
熱性は、体を強く温める性質です。
五性を知ると、体質や季節に合わせて食材を選びやすくなります。
冷えが気になる人は、温性や平性の食材を意識します。
ほてりやのぼせが気になる人は、涼性や寒性の食材を取り入れます。
胃腸が弱い人は、平性の食材を中心にしながら、温かく調理するとよいでしょう。
ただし、五性だけで食材を決める必要はありません。
体質、季節、体調、調理法を合わせて考えることが大切です。
薬膳初心者は、まず身近な食材の五性から少しずつ覚えていきましょう。
毎日の味噌汁やスープに取り入れるだけでも、薬膳の第一歩になります。
